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学-02

その日の帰りのHR、、、遅れて出勤してきた顔色の悪い担任が、修学旅行先でのホテルの部屋割りを決めると言い出した。
旅行先では一日目は男女別施設の大部屋、二日目と三日目はホテルで二人一部屋の豪華な待遇だ。

以前から話は出てたが、特にだれも約束をしていない河野は、「部屋にいることなんて少ないだろうし、誰とでも良いや~」くらいに思っていた。

宗岡は宗岡で興味なさそうに眠たそうにしている。

そして、部屋割りは決まっていき、案の定最後にあまり者として、河野宗岡の部屋が決まった。

わりとあっさり男女ともに部屋割りも終わり、具合の悪そうな担任のHRもすんなり終わった。

クラスのみんながバタバタとそれぞれの放課後に向かう頃、宗岡のほうから河野に声がかかった。
「週末日曜日暇か?」
相変わらず野暮ったい野太い声が、声をかけてくる。
「日曜なら暇だよ~」
河野は河野で帰りの支度をしながら返事を返す。
「それじゃ、少し付き合ってくれねえか?今度の修学旅行の、、、な?」
「いいよ~あけとく。」
あっけらかんと河野がかえすと
「なら時間とか決まったらメールする。部活あるからじゃあな。ありがとう」
と宗岡は「よかったよかった」と急ぐように、おそらく柔道着の入ったでっかいかばんを肩にかけ、どしどしと教室を出て行った。
夕方からのバイト迄は少し時間がある・・・河野は図書室に向かい、静まりかえった人の少ない机で、てきとうな本をチョイスして、なんとなく読んでいく。

小一時間ほどたった頃か、、、
「意外と勉強熱心なんだなぁ」
耳元でささやかれる。
少し驚きながら声の主を探すと、すぐうしろに副担の井上が満面の笑みで立っていた。
「あ~バイトまで暇だったんで、、、井上先生部活は、、、?」
河野は少しびっくりしながら隣の席をどうぞと勧めながら答えると
「今日はそれぞれの自主練だから、俺はいないほうが良いんだ」
少し肩をすくめながら隣に座り井上が言う
「あんまりしょっちゅう顔出してると女の子だから嫌みたいでな、、、がはは」
「生徒にあんなにひっつかれてるのに、、、」
「ほら、部活では鬼、、、なんて呼ばれてるしなぁ、、、困ったもんだ」
この井上という副担任は授業のときは温厚ほめて育てるタイプだが、ソフトボールの部活のときは相当きついらしく、かなりしごくらしい。これは学校で有名な話みたいだ。
話を聞いてても実際見た事のない河野は
「へ~。鬼の先生見たことないからわからない(笑)」
と本を閉じ先生の顔を見る、、、
「ほら、もともと体育会系で、甲子園夢見た時もあったからな、、、もう十年以上前だがそん時の監督にはまいったな、、、今の俺なんて足元にも及ばないぞ、、、」

先生の話は随分続いた、、、
昔を懐かしむような、これからを見据えるような、、、輝いた瞳で子供の様な屈託のない瞳で、、、
河野も耳に入る井上の声が心地よくうんうんとじっくり話をきいていた

たっぷり話を聞いてたが、やがて河野は壁に掛けてある丸い時計に気づく、、、

学校を出なきゃならない時間をとっくに過ぎていて焦った
「うは、、、先生やばい、バイトの時間に遅れる、、、途中でごめん~」
すぐに立ち上がると読んでいた本を棚に返し、机の足元においてあったかばんを持つ、、、
あっけにとられていた井上は「そうか」とだけ、、、
「もっと聞いていたいんだけどタイムリミット、、ごめん~」
話は途中だが、遅刻したらとんでもない、、、とダッシュで河野は図書室を出ようとした、、、

「俺が送っていくぞ」
思ってもいない井上の言葉だった。
思わず「え?」と井上のほうを振り返る河野、、、
「今日はもう帰るだけだから。職員用の駐車場で少し待ってろ、荷物とってから出る」
と、井上は足早に職員室に戻る
(自転車なんだけどな~)(明日どうしよ?電車かな?)と一人自問自答しつつ教諭用の駐車場に向かう
ほどなくして井上が相変わらずあっけらかんとした顔で現れる
「悪かったな。乗れ」
と井上は4WDの車をさす
先生とぴったり似合うような、でかい車体、、、
その助手席にぽんっと乗った

「バイト先は??」
エンジンを掛けながら聞く井上に、バイト先のなんとなくな住所を伝える
「わかった。あそこか、よし」とつぶやく
「ん??」とおもいつつも河野は相変わらず(朝の電車混んでるんだよな、、、一日の辛抱か)、、、なんて考えながら、バイト先まで珍しい車からの風景を楽しんでいた。
まもなくバイト先の本屋、、、水曜日日曜日以外はだいたい毎日五時間程働いている
車が止まり「ありがとうございました。」と一礼して車を出ようとすると唐突に
「俺ん家この近くでな、、、お前ん家この近くか?」
とたずねてきた
「そうですよ、歩いて10分かからないですね」
河野は車を降りるのを少しやめ、話を返した
「そうなのか。なら明日少し早いかもしれないが、一緒に学校にいくか??自転車おいてきただろ?」
これまた突拍子もなく聞いてくる
「そうですけど、、、いいんすか??」
正直、どんな返しをして良いかわからず、河野は気まずそうな表情で返す、、、
「いいのいいの、俺がどうしょうもない話に付き合わせたんだしな、、、」
笑って井上は答える
「ただし、明日はここに7時集合だからな」
少しいたずらっぽく井上が河野を見て笑いかけると河野も
「んじゃ有り難く、、、7時っすね。」
と、笑いながら答え、(少し早くねえか?)と思いつつも車を降りた。
バイトに向かう河野野の背中に
「がんばってこいよ~」
と緊張感のない声をかけ、井上もサイドブレーキをはずし自宅に向かった。

                                     <学-03に続く…>
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学-01

今日も一番乗りだ~!!、、、なんて思って電気のついてない教室の扉をガラッと開ける、、、
あれ、、、見慣れたアイツの広い背中、、、
(ちぇっ、、、今日は一番逃したか、、、)と思いつつもいつもの「おっはよお~~!!」を口にする。
アイツは机にうっ伏せながら右手を上げて眠そうな野太い声で「おはよう~、河野~」と返す。
朝の日差しだけの教室、いつもと一緒の挨拶。

河野順平(こうのじゅんぺい)、、、毎朝教室一番乗りを狙って、家から15キロ程ある学校までの道を自転車で登校してる、小柄ではあるが短髪スポーティで一般的に爽やかと言われるような引き締まった体型。帰宅部。

宗岡衛(むねおかまもる)、、、時々河野の不意をついては教室に一番乗りしている、いつも穏やかな熊のような感じで、他の同級生に比べると毛深くむさ苦しい感じの無口で大柄な柔道部。

基本的に宗岡から話しかけてくる事は少ない、、、ただ毎度アイツと近い席で他の奴より接する機会は多いし、何より入学から2年と少し近く一緒のクラスにいるのだから、お互いにそれなりには打ち解けている。

特に話もすることはなく、なんとなく香ってくる宗岡のいつもの香りをほんのり感じながら、河野は始業までの時間を雑誌を眺めながら過ごす。

担任は50歳近い、いかにも美術を教えてます、、、という感じの黒ぶち眼鏡のかなり細身な女性の先生。
ただ、身体が弱いのか家庭の事情か、休みも多く副担任が面倒を見てくれることの方が多くなっている。

副担任の井上秀造(いのうえしゅうぞう)は、30代前半~半ばで国語を教えている。
女子ソフトボールの副顧問をしており、坊主頭に浅黒い肌とスラックスもYシャツもパンパンで全身むっちりした体型、、、生徒には人気が高く、休み時間には誰かしらまとわりつかれているような先生である。

今日も担任は遅れてくるらしく、副担の井上がHRや連絡などを伝えていた。

「では、朝のHR終わり。」
井上の声とチャイムとがほぼ同時に響き、ガヤガヤした教室が戻ってくる。
相も変わらず机に突っ伏している宗岡の背中を見つつ、河野は朝一の授業の用意をし友達と話をする。

「もうすぐ修学旅行だな~。沖縄だぜ~。楽しみだよ~。順平って何選択したの??俺体験ダイビングなんだよ~」
ここ数日、クラスの奴らは半月後に控えたイベントの話で、きりがないくらい話をしている。
河野の学校は、二年ではなく三年に修学旅行があり3泊4日、中日の丸一日は10近くのレジャーの中から好きなコースを選べるようになっている。
「俺、無人島だかのシュノーケリングだよ。きれいな魚の写真撮るんだ~(笑)」
河野もワクワクな気持ちは強く、早くその日が来ないか待ち遠しかった。

ちらっとアイツのほうを見てみるが相変わらず、、、宗岡はわいわいガヤガヤするのは苦手な様で、たいてい話に加わってくることはなかった。(友達がいない訳ではないのだが、基本的に無愛想が定着してるのもある)

授業も始まり、普段の黒板に向かうそれぞれの姿がたんたんと時間を刻んでいった、、、

(アイツの背中はやっぱり広くてごついな、、、)と、河野は何度か宗岡を眺めながら、いまいち身の入らない授業に何度も意識を飛ばしそうになっていた、、、


                                    < 学-02へ続く・・・>         
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Author:親父臭好男
男臭い男・親父好きです。
気ままに小説的なものを書きます

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